桃李はバカだから、その言葉そっくりそのまま信じてしまったら、どうするんだ?!
『夏輝って、女に囲まれて調子に乗ってる高慢チキヤローだもんね』
…なんて、言われたりしたら、俺はきっと崩壊する。
恐らく、生命体としてダメになるだろう。
今、この状態でなければ、直ぐ様ダッシュで反論しに行くのに!
…なのに!行けない!
「夏輝様、お誕生日おめでとうございます!私の想い、受け取ってください!」
ああぁぁっ!申し訳ありませんが、あなたの想い受け取ってる場合じゃない!
桃李、桃李があぁっ!
ちくしょう、藤ノ宮。
覚えてろ?
許されないわ…!腹立たしい!
「私、バヤセの総長の姫なんですけど、夏輝様のこと好きになっちゃって、姫やめたんです…」
ん?ん?んん?総長?姫?
藤ノ宮に気を取られていて、キワモノキャラが目の前にいることに気付くのが遅く、戸惑ってしまう。
姫?どこのお国の方でしょうか?どこの星の姫?
バヤセ?腹痩せ?…それ、国の名前?
金髪に青い瞳をしてるし…カラコン?
「だから、夏輝様、私と付き合ってください!」
頭の中、キャパ超えさせるな!!
「…ちょっと、あなた?こっちへいらっしゃい?」
総長の姫とやらとやり取りに時間がかかってしまったからなのか、小笠原が間に入ってきた。
「え?何ですか?」
「夏輝様には贈り物とお祝いのお言葉のみを贈りなさいと言ったでしょうが。誰がどうでもいい身の上話と愛を告白しろとおっしゃったのですか?」
「え?何で?何でダメなの?あなたには関係ないじゃない」
「…言ったことも守れない、理解できないお行儀の悪いあなたには、少し指導が必要ですわ?…こっちへいらっしゃい」
そう言って、小笠原はその姫とやらを引っ張って向こうに連れて行く。
「LINE交換致しましょう。お近づきの印に、近いうちに我が家へ招待致しますわ?」
「え、ホント?」
我が家へ招待?
まさか…ガス室に入れる気じゃねえだろな。
背筋がゾッとする。恐い。小笠原、恐い。
だが、この金髪姉ちゃん、脳内改造が必要だと思う。
自分を姫と名乗るだなんて。
そういやさっきも、俺に抱きつこうとして、同様に「指導が必要」と連れて行かれた女子がいた。
どんどんガス室に入れられるぞ…恐い。
こうやってガス室にぶちこまれていくのか…。



