王子様とブーランジェール





正面玄関口で繰り広げられるプレゼント贈答会。

規制線も長蛇の列も目立つため、通りすがる生徒がみんな立ち止まって見ていくのなんの。

冷やかしお断りだが、冷やかしのように寄ってくる輩もいた。



「うぉっ!ダンナ、すげー!まるでアイドルみたいだにゃー!」



松嶋か。

悪いが、構ってられん。

こっちは、次々とお祝いのお言葉とプレゼントを頂戴しなければならないのだ。

でないと、本日中に帰宅できるかわからん!



「うわっ。竜堂ー?やっぱりおまえは女に囲まれて、チャラチャラしてるヤローだよ!喧嘩試合は負けたがな?俺は神田さんを諦めないぞ!」



高瀬…久々の登場かこのゴリラヤロー!

まだ桃李を諦めない?!俺に負けたくせに、このゴリラ!

しかし、野次を飛ばした高瀬を、小笠原が相手をする。

「…お黙りなさいぃぃっ!このゴリラ男!夏輝様は今、戦ってらっしゃるのよ?!邪魔をするなら駆逐するわよ!」

ガス室の次は、駆逐…新しいパターンだな。



「…あれ?夏輝?」



ここで。

この姿を見せたくない人が現れてしまった。

姿を確認せずとも、その可愛らしい高い声ですぐにわかる。

ちょっと遠くに離れてようが、すぐにわかる。



「…桃李?どうしたの?」

「あ、律子さん。なんか夏輝が…」



…うおおぉぉーっ!!

と、桃李だ!桃李!



見られてしまった…!

見てほしくなかった、このファンと戯れる姿…!

ああぁぁっ!



メンタル、滅多打ち。

何者かに駆逐された気分だ。



だが、一緒にいる藤ノ宮の声も耳にサクッと入ってくる。



「…桃李、あんなの放っておいて、行こ?」

「え、でも…」

「あんな女に囲まれて調子に乗ってる高慢チキヤロー、どうでもいいよ?行こ?」

「あ…」



…藤ノ宮よ。

今、何て言った?

あんなの?

女に囲まれて調子に乗ってる高慢チキヤロー?

桃李の前で、何を言ってくれとんじゃコラァ!



…前から睨まれたり、学祭で最低呼ばわりされたりと、俺への印象はなぜかあまり良くないとは、薄々感付いてはいたが。

嫌われてはいるんだろうな?とは、思っていたが!

よりにもよって、桃李の前でそれを言うとは…!