王子様とブーランジェール





ホント。特に、桃李の前では気をつけないといけない。

また『怒らないで!』なんて言われたら、マジでメンタル滅多打ちになる。



「…で、何だ?」

「…あ、あっ!あ、あのねあのねっ」

今度は桃李がビクッとして慌てて話し出す。

今度はおまえが考え事?気をつけろ?

「な、夏輝、忙しいのわかってるんだけど…帰り、うちに寄れる?」

「え?おまえんち?何で?」

「あのねっ、夏輝に誕生日プレゼント渡したいの。いつものなんだけど…」

いつもの…あぁ、毎年作ってくれる、パウンドケーキか?

桃李は毎年、バースデーケーキを俺と秋緒に焼いてくれるが、生クリームが苦手な俺には生クリームを使わないパウンドケーキを作ってくれる。そういえば。

「忙しいなら、夜に夏輝んち持ってくけど…」

「いや、帰り寄る。わざわざ家まで来なくていいから」

「わ、わかった。じゃあ何時までも待ってる」

何時までも待ってる?俺のために?

それ、ちょっと嬉しい…。

プレゼント渡したいの。も、嬉しかったし…。

かわいい…。

嬉しすぎて、ちょっとにやけてしまう。



桃李が俺にプレゼントか…。

毎年のことだけど、嬉しいわ…。

誕生日の幸せ…。



ほんのちょっとの幸せに、張り詰めていた心がまたほどかれる。



…そういや、俺、最近あんまり桃李にカリカリしなくなったな。

ダメでドジでバカは、二学期になっても相変わらずやらかしているんだけど。

あまり気にならなくなった。

もう好きになりすぎて、そこを通り越してしまったのか。

それとも、この男子生徒襲撃事件で頭がいっぱいだからなのか。

そこはわからない…。




年に一度の誕生日だから、頭の中めでたく過ごしていたいとは思うけど。

だけど、素直にめでたくいれない状況でもあって。

襲撃事件のことを大半占めていて、頭を抱えてしまっている。

でも、一番辛いのは俺じゃなくて、被害にあった男子生徒たちだ。

理人は俺の心情をわかっているのか、さっき庇ってくれはしたけど。

でも、そこに甘えて自分が被害者ヅラしちゃいけない。

自分が原因でこの事件が引き起こされたのは間違いないんだ。


何としても、何とかしなくては。