王子様とブーランジェール




そして、ボッコボコにされた後にまたしてもその《ミスター出てこいや!》の紙切れを渡され、それを俺に渡せと言い、去っていくとのこと。



そして、今日は二人も俺のところに訪れる。



手口は一緒だ。

学校帰りに一人。

地下鉄を降りたところ、複数で狙われる。

人気のないところに連れて行かれ、集団でボッコボコ。




…しかし、共通しない部分もあって。



被害生徒が降りた地下鉄の駅、すべてバラバラだ。

一人目は、東西線・琴似駅。

二人目は、南北線・南34条駅。

三人目は、東豊線・福住駅。

四人目は、JR線・桑園駅。

路線も、方向も、何もかも。

四人目に至っては、地下鉄じゃなくJR。



あと、ボッコボコにしてきた不良連中の特徴、見た目も、すべてがバラバラ。

二人目に至っては、不良ではなく、一見普通の男子大学生のようだったと。

かと思えば、三人目は、髪の毛が赤やら緑やらのガチガチのヤンキーだったり。

見た目が統一されていない。



これは、どうしたものか。

相手はいったいどこの誰だ?

俺んとこ真っ直ぐ来いやとか思ってはいても。

俺の目の前には現れないまま、他の男子生徒が次々と被害に合っていく。

このまま増えるのか、終わるのか。

そんなことすらわからない状況だ。



見えない敵に、やられている気分。

もう、四人も被害に合ってるだなんて…。



何だか、気持ち悪いし。

怒りがふつふつと蓄積されてくる。



汚ない連中だよな…?

俺が気に食わないのなら、真っ直ぐ俺のところに来ればいい話なのに!

なのに、俺の見えないところで、手の届かない、目の行き届かないところで、こちゃこちゃと被害が増えてるなんてな?



そんなこともあり、最近はイライラしっぱなし。

イライラというか、殺気立っている。

自分の誕生日すら忘れるぐらい。



ちっ…どこのどいつなんだ?!





「…夏輝?」



名前を呼ばれて、ハッと我に返る。

慌てて振り返ると、そこには桃李が立っていて、きょとんと俺を見ていた。



「ど、どうした…?」

び、ビックリした。

急に話し掛け…いや、俺が考え込みすぎていたか。

「夏輝…どうしたの?」

「は?な、何で?」

「恐い顔していたから…」

「い、いや別に」

桃李に見られてた…。

桃李に気付かれるあたり、相当顔に出ていたな。

気をつけないと。