「夏輝様おめでとうございまぁーす!これ、お友達と食べてくださぁーい!良いお誕生日を!」
最後の一人から紙袋を受け取り、列が途切れた。
終わった…。
一気に疲れがどっと押し寄せる。
まだ朝だぞ?もう部活が終わったかのような疲れが…。
しかし、朝っぱらから何をやらせるんだよ、この愉快な仲間達は…。
小笠原麗華は、咲哉と共に俺の足元で頂いた贈り物の仕分けをしている。
咲哉、さりげにそいつと絡んではいかん。
危険人物だ、そいつは。
「夏輝様、ナマ物は家庭科室にありますので、帰りお忘れなく!」
そう言って、段ボール一箱を山田に持たせ、せっせと去っていった…。
いったい、なんなんだ…ホントに。
目まぐるしい状況なのに、何が起こっているのか。
どこに立たされているのか、わからない。
そんな状況。
「夏輝?貢ぎ物、中に持ってくぞー」
「…あ、悪い」
ボーッとしていると、咲哉がプレゼントの入った紙袋を持ってさっさと教室に入っていってしまう。
入るなり、陣太や理人と中を興味津々に覗いていた。
何をしとる…!
続けて中に入ろうとした。
その時だった。
「あの…竜堂くん?」
呼び止められて、足を止める。
って、まだいたのか?列に並んでいたヤツ。
うんざりして、振り返る。
「…は?」
だが、そこにいたのは、想像していたファンの女子の姿ではなく。
「あ、あの…」
俺より小柄な男子生徒。少々気弱そうに見える。
しかし、その姿を目にして、思わず注目してしまい、少なからずの衝撃が走る。
男子生徒の顔には、殴られた跡ともいえる腫れや変色、目元には絆創膏が貼られていた。
ま、またか?
ケガをした男子生徒が俺を訪ねてくる。
…実は、ここ数日で三人目。
「…ど、どうしたんだ?そのケガ!…まさか!」
「あ、昨日、学校帰りに知らない男子に絡まれて…」
やはり、同じ状況…!
すると、男子生徒はポケットから紙切れを取り出して俺に渡す。
「その人たちが、これを竜堂くんに渡してくれって…」
渡された二つ折りの紙切れを、開く。
中を見て、やはり…という落胆と、怒りがこみ上げてきた。
俺は今。
いったいどんな状況に、立たされているのだろうか。
突然として現れた敵が、見えない。
その紙切れを目にしながら、複雑ともいえる感情を抱えていた。
《ミスター出てこいや!!》
…出てこいやって、何だ。



