王子様とブーランジェール




見る見ないはさておいて、その誕プレを丁重にカバンの奥底にしまう。

他人にバレないように。

理人にバレてみろ。しつこくいじられた挙げ句にこのDVDを持っていくに違いない。

めんどくせー。

そして、桃李にためらいなくバラすと思われる。

いじられるのも、DVD持ってかれるのも百歩譲って全然構わないが、桃李の耳に入るのは、何としても避けたい…。




そんな危険物のような誕プレが入ったカバンを持って、更衣室を出る。




「なあなあ、夏輝ー?」

「あ?」

隣にいる咲哉は、俺の返答と共に笑いをもらしている。

「…何だよ。笑って」

「土曜日空いてる?誕おめパーティーしようぜ?陣太と理人と。テキサス行こうぜー?俺達のおごり」

「テキサス?焼き肉か。いいなー。おごりはいいって」

「いーのいーの。お金出来たから。夏輝と理人のおかげで」

「俺達の?おかげ?」

すると、再び咲哉はフッフッ…と笑い出した。

狭山ばりに怪しいぞ?

そして自信満々に話し出す。

「…胸キュンシアターのDVDの売り上げが入ったんですわ!150枚売れましたわよ!」

「150枚?!」

胸キュンシアター…あの見せ物小屋の?!

そんなに?!

「売り上げは上山さんと半分こ。俺達二人で七万ほどの大金が入りましたのよ…」

「な、七万!」

「だから、出演男優さんに還元しちゃう。みんなでパーっと食べに行こうぜー!」

なるほど、そういうことか。

じゃあ、遠慮なく。

しかし、複雑…。



苦笑いしながら、盛り上がる咲哉の後を着いて廊下を歩く。

本日は快晴のため、差し込む日差しで廊下が明るい。

廊下に入る日差しは、真夏のあの頃に比べると、比較的柔らかくなっていて、穏やかになっていた。

時々涼しい風が差し込んでくる。

肌に感じて心地好く感じると、もう夏の終わりを思わせる。



俺の誕生日が来るってことは、夏もそろそろ終わり…だな。




「…あ、すみません!竜堂くん!」



咲哉に続いて階段を昇ろうとすると、後ろから呼び止められる。

「…は、はい?!」

慌てて振り返ると、そこには女子生徒が二人立っていた。

見たことない女子。

顔を赤らめて、もじもじしながらこっちを見ている。



こ、これはもしや…。



「わ、私、2年6組の三崎こずえって言います!」