王子様とブーランジェール




例えば、ただ『僕とお付き合いしてください』と言う。

しかし、恐らく『付き合ってって、どこに行くんですか?コンビニ?』なんて返答が返ってきそう。



そんなレベルだ…。



しかし、そんなバカを好きになってしまったのだから、仕方のない話だ。

困難だろうが、一筋縄ではいかなかろうが、やるしかない。



行動と態度で示して、意識してもらって。

そして、想いを伝える。



こんなにもおまえのことを好きでいる、そんな俺に気付いてほしい。

そこまで想いが募ってきているのだ。



道のりは長いかもしれないが…。

バカ相手だから…。




…しかし、そんなことを言っている場合じゃない、深刻な騒動が待ち受けていた。










怒涛の始業式から、数週間が経つ。

暦の上では、もう9月も中旬を迎える頃だった。




「…朝練終わり!…急いで撤収ーっ!」



新キャプテンである十津川さんのコールと共に、全員総出で片付けに取りかかる。

「とりあえずしまえ!しまえ!細かいことは夕方だ!」

「…鍵!鍵誰持ってんの?千紗マネ?」

「ご、ごめん!私!」

毎度のことであるが、ハリケーンのごとくけたたましい時間だ。



夏休みのインターハイで、三年生は引退。

部活も一年生と二年生のみの新体制となっていた。



…いや、三年生まだいたな。



「十津川キャプテーン!これどこにしまいますかー?」

「十津川キャプテーン!グランドの石、拾いますかぁー?」



木元さんと蜂谷さんだ。

隅っこでふざけている。



「…ちょっと!やたらとキャプテン連呼しないでくださいって!残留組!」



うちの部には、公立高校ならではのルールがあって。

三年生は引退するまでに進路が決まれば、残留可能。

冬の全国大会への予選に出場できるというワケだ。



今年の残留組は、蜂谷さんと木元さん。あと優里マネ。

夏休み中の三年生最後の部活の日に、蜂谷さんと木元さんは、大学の合格通知を持ってきた。

二人とも、私立大学の指定校推薦の合格通知。

この二人…勉強出来るんだな。意外。

優里マネは、就職内定。

こうして、残留組三人を含めた新体制が始まった。



8月末から早々に始まった地区予選。

勝ち抜いて、先週、道予選への代表権を獲得。

そして、ただいま10月中旬から始まる道予選に向けて、忙しく毎日部活。