王子様とブーランジェール




当の本人は、気付いていなかったらしい。

鳩が豆鉄砲を食らった表情とは、まさにこのことなのか。

目を見開いて大きくして、きょとんとしている。



『学祭で会った時より、顔が真ん丸になってますよ。背中も少し大きくなってます。全体的にぽっちゃりしました』

『…えぇっ!』

そして秋緒は容赦なく桃李の腹を触って掴む。

『あぁ…お腹、少し出てますね。体重測ってきたらどうですか?体重計、洗面所にありますよ』

『ええぇっ!』



バタバタとけたたましく再び家の中に入っていく。

しばらくすると、再び出てくる。

目がうるうるとしていて、泣き出す寸前だ。



『4キロ…太ってた…』

『4キロ!』



その場にいた俺達ファミリーと理人、絶句。

三週間で4キロ?

どんだけ食い倒れていたんだ…!

特にパンは適面に体重に出るからな。




しかし、全員絶句する中で、この女はまたしても…。



『いいじゃないですか、桃李。ぽっちゃりしているのも可愛いですよ。ハムソーセージみたいで』



秋緒は、いぶりがっこクリームチーズのバゲットを食べながら、何の気遣いもなく無表情で淡々と感想を述べる。

『は、ハムソーセージ…!』

桃李の目が更にうるうるし始めた。もう、泣く。

なんて事を言うんだ、この超合金ロボット女!

同じ女子とは思えない!



『ああぁぁ!…桃李、泣かないで!泣かないで!春姉ちゃんがダイエットの仕方教えてあげるからねー?ね?ね?…秋緒!失礼なこと言うんじゃないの!』

姉妹の中では一番気が付く春愛が、真っ先に桃李を庇って慰める。

そこのデリケートな部分は、この場では男子である俺には何も言えない。

ただ黙っているしかなかった。



その後、春愛にストレッチだとか食事の仕方だとか、ご指導されており、ダイエットに関するグッズをいくつか貰っていた。




そして、それから一週間。





「り、りみちゃんやみんなにも…ふ、太った言われた…」

「………」

「ねえ、一週間で痩せてない?や、痩せてない?」



今パッと見ても、変わったかどうだかわからない…。

困る質問、ぶつけてくるなよ。



「おまえ…フランス行って食生活が変わって太ったんだから、今までの食生活に戻って、少し運動すれば大丈夫だって春愛に言われただろ。そんなに…」

「痩せてないの?痩せてないの?!」

「………」