美梨也が、狭山の傍へとデカブツ工具箱を持っていく。
「昨日、梅津さんとこ行ってきたんです、そしたら、ねー!」
そして、狭山がその工具箱を開けた。
「どうですか?狭山さん!」
「随分でっかいの仕入れたな?」
狭山がケガを負っている右手でそれを軽々と取り出す。
出てきたブツは、衝撃を受けるものであった。
ま、マジ…?!
狭山の右手には…ドリル!
問題集ではない。
工事現場にてよく見かけるあの工具だ。
しかもデカい。全長50センチほどある。
女子高生が、なぜドリル?!
突然の武器の登場に。
開いた口が…塞がらない。
「こりゃあ、威力ありそうだな」
「でしょ?梅津さんが外国人と取引してゲットしたものなんですよ!格安!」
「アタッチメント、もう少し長くて太い方が使えるな。…菜月、作れるか?」
「うーん。やってみる。今日持って帰るね」
菜月を含め、三人で和気あいあいとドリルの話をしている。
ど、どういうこと?
ここで、奴らが極道連中と言われる由縁を少し感じ取ってしまった。
外国人と取引?盗品…!
アタッチメントの改造?!
俺の横にいた潤さんが「聞き流して…」と、苦笑いしている。
理人の顔はひきつっていた。
ってか、聞き流せるかこんなこと。
法律に引っ掛からないのか?!
すると、またしても家庭科室のドアが開いた。
最後の来客だ。
な、何っ…!
「おっはー!パーン!クロワッサーン!」
「おはよみんな」
女子生徒が二人。
しかし、それは、またしても知り合いで。
またしても、知ってる人、来たー!
「おはようございます!林さん、坂下さん!」
「おつー。まゆり、優里沙」
うちの…サッカー部のマネージャー二人!
優里マネ、まゆマネ…!
もとい、坂下優里沙さん、林まゆりさん。
二人とも三年生。
「夏輝、何してんの」
や、ヤバい。
ヤバくないんだけど、何かソワソワしてしまい、一瞬、どこか隠れる場所を、探そうとしてしまった。
で、何となく理人の後ろに隠れる。
な、何で?
何でうちのマネ達が!
いや、潤さん同様、答えはもうわかるだろう。
優里マネとまゆマネも狭山の友達…!
ドリルについて語り合う連中と、友達!
なんてことだ!
しかし、俺と似たような身長の理人の後ろに隠れていようが、いずれはバレる。
「…あれー?一年の和田くんじゃない?男バスの超イケメン!みんなカッコいいって騒いでるよー?…あれ?竜堂くん?」
まゆマネが理人めがけて寄ってきたついでに存在がバレる。
「えっ…竜堂くん?」
優里マネも理人の後ろに隠れていた俺を覗きこむようにして見つけてしまった。
あっという間にバレてしまった…。



