王子様とブーランジェール





マリアは誤魔化し笑いしている。

って、本気で忘れてたろ。万智さんと飲み会しようとしてたもんなぁ?

旦那が約一年ぶりに帰省するのに、忘れてるってなんなんだ。



親父は、市内にある大学の植物園の管理の仕事をしている。

同時に大学の研究員でもあり、研究のため、現在スマトラに海外赴任中。

もう2年にもなる。




「ちょっと忘れる?老化って切ないものですね!…で、何時ぐらいに帰ってくるんですか?」

「…うーんと。もう昼過ぎにはこっちには戻ってきたのよ。でも真っ直ぐ大学寄るっていうから…いつになるか、家に帰ってくんのは明日かもしれないわよ!」

マリア、最後の方はやけくそ気味に答えたな。

老化のことを指摘されて怒ったか?

どうもならないことをズケズケ言ってくる秋緒もえげつないな。

しかし、親父も相変わらずだ。

帰ってくんのかどうなのか、はっきりしろ。

好き放題やってるから、妻に忘れられるんだ。




そんなワケで。

何だか知らないが、親父以外家族全員集合してしまった。

女四人、男一人、犬一匹の焼き肉大会。



しかし、女四人集まると、賑やかになる。

全員160㎝超えのアマゾネス軍団は並んで座ると、迫力あるぞ。



「ちょっと!何このお肉!紙に一枚ずつ包まれて、高級そうじゃない!焼いて焼いて!」

「自分で食べる分は自分で焼きなー?この世は弱肉強食さ!」

「ふ、冬菜っ!一言多くてムカつくわね!焼くわよ勝手に焼いてやる」

「でも春姉ちゃん、この肉油多いですよ。胸焼けするから、気にしてるお肌にも悪そうですけどね」

「バカねー秋緒。高級お肉だもの、良い油に決まってるじゃない!美容にもいいに決まってる」

「はぁー?気取るなよショップ店員。ただの言い訳だろ。高級なら何でも良いと思いやがって。肉食いまくって酒呑みまくってるヤツに何が美容だよ」

「なっ!…社会人には付き合いってもんがあるのよ!冬菜、あんたも飲み会あるでしょうが!」

「春愛お姉さまとは違ってわたくしは友呑みしかございませぬー?春愛は合コン婿探しだろー?」

「婿探し!…彼氏探しよ!…って、私の焼いた肉食べてんじゃないわよ!」

「この世は弱肉強食さ!」



冬菜、やはり腹立つなー。その喋り方。

だけど、春愛もスキがあるからやられるんだ。いちいちムキになるし。

女って、えげつない。

俺と高瀬のケンカの方がまだかわいい。(←たいして変わらないことに気付いていない)