思わず勢いで了解してしまった。
慌てて散らかっている靴下を拾う。
靴下履かせるってか…本当に何考えてんだこのバカは。
何回も言うけど、俺は男子。男なの!
…だが、それは、桃李は俺を男として意識していないという結論に至るものでもあった。
悲しい…。
所詮、こんな結果か。
この先、相当頑張らなくてはならない。
まずは、靴下を頑張って履かせてやるか。
右足の爪先に引っ掛かったように被さっている靴下を、端を持って引っ張ってやる。
引っ掛かる踵のところも、履き口を両手で広げて履かせ、ふくらはぎのところまで伸ばした。
…足、白くて細いな。
「なつき…」
「…あぁ?」
またしても呼ばれたので、振り向く。
しかし、振り向いたところにスカートの裾の辺りが視界に入ってしまい、思わず目を背けてしまう。
うわっ…ヤバい。スカートの中、見えそうだ。
そっちをあまり見ないようにしなくては…。
ドキドキさせられてしまった。恥ずかしい…。
「なつき…」
「…だから、何だよ」
疲労のおかげで、やっと振り絞って出している声で、ゆっくりと問いかけられる。
よく呼ばれるな、さっきから。
何か用か?
「…怒ってる?」
身に覚えのないことを言われて、少しばかりか戸惑う。
怒ってる?って?
「…え?何でだ?」
ワケも解らないまま逆に質問し返してしまう。
少し間を置いて、返答があった。
「…うじうじ言ったり…泣いたりしたから」
…何で?
何でだろうか。
なぜ、桃李はそんなことを聞いてくるんだ?
なぜ、俺が怒ってるとか、気にするんだ?
…なぜ、そんな発言や泣いたりしたことで、俺が怒ってると、思うんだ?
心無い一言を言ったのは、俺なのに。
泣かせてしまったのも、俺なのに。
予想していなかった桃李からの質問に、困惑する。
突然すぎて…。
「お、お、怒ってねえし…」
動揺を隠せないまま、答える。
すると、桃李はムクッと顔を起こした。
そして、こっちをじっと見る。
疲労で半分しか開いていない、その瞳で。
「…じゃ、いい」
そう呟いて、またパタッと顔を伏せた。
「…夏輝が怒ってないなら、いい…」



