『ひいぃぃぎぃやああぁぁっ!!』
体がビクッと震わさせられる。
とてもキリキリした、汚い悲鳴が廊下中に響き渡る。
な、何だ…?
…とは、言うまでもなく。
これ、桃李の悲鳴じゃないか?
このすごい汚い悲鳴…。
久々に聞いたぞ。見てくれが変わっても、悲鳴の汚さは変わらない。
何だ何だ。
何かあったか。
そう思って、廊下を見渡す。
教室の方向へと目を向けた。
しかし、呑気にしていられる事態ではなかった。
『ああぁぁっ!助けてえぇぇっ!!』
教室から、女子の集団が出てくる。
その真ん中には、桃李が…?
「やめてえぇぇっ!やめてやめてえぇぇっ!死にたくないぃぃっ!!」
名前も顔も知らない女子たちが、4、5人。
桃李の両脇を抱えたり、後ろから背中を押して…え?連行してんの?
連れて行かれる?
しかし、この人物の登場で。
事の重大さを察知する。
『…早く連れて行け!時間がないぞバカめ!』
さ、狭山?!
何でここに?!
狭山の偉そうな指示で、女子たちは駆け足で桃李を引きずって行く。
「ぎゃあぁぁっ!!離してえぇーっ!」
桃李も抵抗しているが、力弱く、女子の集団の勢いと力に勝てずに引きずられるがままになっていた。
…え?桃李?
連れていかれる?!な、何で?
そして、なぜ狭山?!
『弱点を大いに利用して…な?』
これはもう、悪い予感しかしない。
「…桃李!」
理人に荷物を押し付けて、飛び出す。
すでに廊下の果てにいる、桃李を連行するヤツらを追いかけようと、駆け出した。
しかし、それを遮るように、俺の目の前に狭山が現れる。
「…おーっと。ここから先は行かせねえぞ?バカめ!」
そして、再び。
お得意の金属バットを、顔真っ正面に突きつけてきた。
「…狭山、おまえ!」
「おまえの大事な神田は預かった!」
そう叫んだ狭山は、金属バットを大きく振り回してくる。
危ねっ…!
回避するために、後退せざるを得ない。
距離を…離された!
「狭山…何のつもりだ!」
金属バットを真剣を持つように構える狭山は、あの得意の悪魔の笑みを漏らす。
「クックッ…私がやられっぱなしでいると思うか?このバカめ!」



