「わたあめー!わたあめいりませんかー!」
すると、すれ違いざまに、知り合いに合う。
「おー。夏輝。何やってんの」
「浴衣着てんの?ヤル気十分だな」
同じサッカー部1年の瑞樹と紘だ。
物珍しそうに、こっちに寄ってくる。
「は?わたあめ売ってんの?売れ残り?」
「売れ残りかどうかはよくわからんが、とりあえずおまえら一個ずつ買っとけや」
「押し売りかよー」
とは言いながらも、付き合いでひとつずつ買ってくれた。
よし。まずは2つ売りさばいたぞ。
向こうでは、理人が同じく男バスの連中にわたあめを売り付けている。
身内攻めりゃ何とかイケる数だ。
だが、しかし。
松嶋のこの一言で、事態が大きく変わってしまう。
「皆さぁーん!浴衣姿のイケメンがわたあめ売ってますぜー!ひとつ100円でござい!」
おいおいおい。松嶋。
余計な情報を撒き散らすんじゃない。
浴衣姿のイケメン?恥ずかしいだろうが。
すると、後ろから突然話しかけられる。
「あのぉ…わたあめひとつください」
「私もひとつお願いしまーす」
私服の女子だ。
もじもじしながら恐る恐るとやってきた。
「あ、はいはい。ひとつ100円です」
お金をもらって、わたあめを渡す。
だが、それだけでは終わらなかった。
「きゃっ!ありがとーございます!」
「お兄さん、イケメンですねー。一緒に写真撮ってもらっていいですかー?」
「は?写真?あ、別に…」
と、言いかけただけで、すぐさま写真を撮られる。
おいおいおい。随分と即撮りだな。
すると、すぐさま、また声を掛けられる。
「イケメンのお兄さん、私にもわたあめくださぁーい!」
「私にも、私にも!」
「はいはい。一人100円で…」
「お兄さん、何年生?!すっごいイケメンなんだけど!」
あからさまにイケメンとか言ってくれるな。
照れというものはないのか、この女子たち。
「写真撮って一緒に!」
女子ってすぐ写真撮りたがるな。何でだ。
わたあめを売り付け、記念写真を撮る。
質問責めに合う。
クラスや名前を聞かれる。
次々とやってくる。女子たちが。
エンドレス。
…おいおいおい。まさか、これ。
うちわのイラストの再来?
またループ出来ちゃってんの?!
しかし、わたあめには限りがある。
最後のひとつ、売れた。
写真も撮ってやった。
これで教室に帰れる。
…と、思いきや。



