王子様とブーランジェール





まさか、糸田先生。

こうなると予測していてからの、あのセリフか?

こいつらに向けられた意味だったのか?



聞かれても、テキトーにはぐらかしとけ。



冗談じゃない。めんどくせーことに巻き込まれるのは。



「…俺は、本当にそこで話しかけられただけだけど。糸田先生に用事があったみたいだし。体育館でも糸田先生と一緒にいたみたいだから。何なら、糸田先生に聞けば?」



糸田先生に丸投げ。

なのに、質問責めは止まらない。



「何て、何て話しかけられた?!」

「…いや、糸田先生と待ち合わせしてるんですって…」

「他に、他に何か言ってなかったか?!」

「いや、別に…先生としか話してなかったし」

「盗み聞きはしなかったのかおまえ!」

「盗み聞きって…」



おいおい。そこまでしなくちゃならないのかよ。

あんたたち、何者?

本当にスパイ活動やってるんじゃないだろな。



すると、狭山が「…あぁっ!もう!」と、叫びだした。



「…よし、もういい、わかった!竜堂、おまえは一年だから何も知らなかったという事で許してやる。しかし、今後このような事があれば、死刑にしてやるからな?!覚えとけバカめ!」

死刑?

「って、おまえ、俺を死刑に出来んの?」

そう言って、狭山に顔を近付ける。

案の定、狭山は顔を赤くして『ぎゃーっ!』と叫んだ。

「か、か、顔を近付けるなバカめ!私に近付くな!」

「俺がおまえを死刑するけど?」

「な、何だと!おまえ、調子に乗るのも…あぁっ!近い近い近い!近付くな!やめろぉーっ!」

この戦法、しばらく有効だな。

いい方法見つけた。

「エリじゃもう竜堂を死刑に出来ないな…」

「昨日、顧問に教えたら超爆笑してたよ」

「…何っ!教えたのか?!」

「大丈夫だよエリちゃん!私が竜堂を死刑にするから!おにぎりに爆弾か毒饅頭仕込むね!」

まゆマネ、何て恐ろしいマネージャーだ。

それ、本当に死ねるでしょうよ。

今度から、おにぎり気を付けて食べるか…。



「みんな、糸田のところに急ぎましょう。尋問して洗いざらい吐かせましょう」

そう言って、菜月はパソコンを閉じる。

大人しい顔して、恐ろしいことを言ってるな。

すると、奴らは再び火がついたように、「そうだ!行こう行こう!」と、バタバタと走りながら次々にあっという間に去っていった。




風のように消えていった…。


いったい、何なんだあれは。