王子様とブーランジェール




デスマッチを見ていた者…。

仙道先生と糸田先生が、狭山の少し離れたところに並んでいる。

二人とも、複雑そうな顔をしているよ…。

麻倉先生も一緒に並んでいる。

そして、実際四天王に会ってきたってことだよな?

狭山の行動力、恐るべし。



『さあ、行くぞ?…おまえらぁーっ!!』



やはり、どこにいても偉そうだ。



『…刺激が欲しければ、バカになるが良い!バカめ!』



狭山の掛け声で、一気に会場が沸いた。

特に男子生徒が手を挙げたり、叫んだりして盛り上がっている。

「マジで!まさか本当にやんの?!すげぇーっ!」

「伝説の四天王デスマッチ、見られるなんてヤバいぞ!」

観客の生徒たちは、興奮した様子で元気に盛り上がっている様子だ。

突然、空気が変わったぞ。



何だこれは…。




『…さて、前置きはこれぐらいにしといてだな?早速始めようではないか?…おまえらの!…神経をバシバシと刺激し、アドレナリン全開にする死闘をなぁ?!…福元ぉっ!』



そう叫んで、狭山は振り返り、手を上げて合図を送る。

その先には、ケージを挟んで反対側に置いてある長テーブルを前に椅子に座っている男子生徒だった。

黒淵眼鏡をかけた、ごく普通の文化系の男子生徒。



『はい!狭山さんありがとうございます!…この《星天高校前夜祭デスマッチリバイバル》!進行、実況を務めさせて頂くのは、私、放送局長の3年1組、福元忠文でございます!』



声の張りと色が違う。すげえ良い声してるヤツ出てきた。

さすが放送局。

あの福元ってやつ、見たことある。

新入生オリエンテーションの時に、司会進行していた人だ。

「実況とかすご。昔も実況付きだったのかな」

理人、相変わらず呑気だな。

「カメラもたくさん回してるぞ。何台あるんだ」

「放送局、全国大会の常連らしいからね」

「放送局の全国大会?何を競うんだよ」

「番組作りとかじゃない?」



俺達の呑気な会話も構わず、イベントは進行している。



『…まさか、高校在学中に、格闘技の実況を経験することが出来るとは…狭山さん、ありがとうございます!』

『それ何回も聞いてるぞバカめ!さっさと進めろ!』