シナリオ打ち合わせは、なし。
理人完全オリジナルらしい。
『…チョコ、食べる?』
そう言って、カメラにゆっくりと顔を寄せている。
突然、左手でカメラを覆った。
まるで、目隠ししているかのように。
しばらくしてから、手を離す。
理人もカメラから少し離れた。
『…美味しかった?』
そして、悪そうな微笑を…。
え…どういうこと?
チョコ、食わせてないじゃん。
「り、理人…おまえ、まさか…」
陣太、顔が赤くなってるぞ?
「早く動画再生してみて?」
理人はなぜかドヤ顔だ。
再生した動画を四人で見る。
『…チョコ、食べる?』
そして、理人の顔が近付いてくる。
…あっ。目隠しされた。
目隠しは、しばらく解かれず。
3秒ほど、暗闇のまま。
そして、目隠しは解かれ、ちょっと悪そうに微笑む理人の顔が現れる。
『…美味しかった?』
「…うぉっ!これ、チョコ食わすと見せかけて?」
「目隠ししてキス?!」
…何っ!
「さぁー?」
理人は笑いを堪えていた。
野郎…これ、実体験だな?
どこの誰に使ったんだ!
「すげっ…理人、かっけぇ」
笑いはどこへやら。
咲哉はマジでその動画に見いっている。
「色気あんな」
負けた…。
どうでもいいけど…。
理人は、ちょくちょく彼女がいる。
恋してる素振りは見せないのに、いつの間にか彼女がいる、みたいな?
だから、こんな実体験多いのか?
「この、百戦錬磨」
「夏輝だって何人も彼女いただろ。本気じゃないヤリたいだけの彼女だけど?」
「…んだとコラァ!何てことを!」
「え?今もいる?うわっ。桃李に言っとくわ」
「んなもんいねえし!黙っとけやその口!」
またしても、どつき合い、掴み合いが始まった。
「こいつら、いつもモメるよな。もうオチ並」
「ケンカするほど仲が良いってか?」
理人とキャットファイトを繰り広げていると、「竜堂くーん!」と、黒沢さんがやってきた。
「竜堂くん、ちょっと正面玄関口行ってくれない?暇してるし、何もしてないでしょ?」
「え?何か仕事?」
「下に荷物来てるから桃李に頼んだんだけど、箱でまとめて来ちゃったみたいで、運べなくて困ってるみたい。ちょっと手伝ってあげて」
「あ、はいはい」



