仙道先生がいなくなってしまったので、暇になる。
集まっていた男子十数人は、そのうち女子に呼ばれて手伝いを再開したりと、一人ずつ捌けていった。
理人も松嶋とダンスの最終確認とかで、いなくなってしまった。
やることといっても、学校行事センスのない俺には力仕事ぐらいしかなく、今は本当に暇。
取り残された陣太と咲哉と三人。教室の隅で、だらだらとするしかない。
「…じゃあ、やる?あれ」
そう言って、陣太はスマホを取り出した。
やるって、あれか?
昨日に引き続き。
「おぉっ。陣太、そうきたな?やるべやるべ」
「胸キュン動画コンテストー!」
陣太は一人で拍手していた。
咲哉は口元を押さえ、プッと思い出し笑いをしている。
「マジでやんの…」
「やりましょやりましょ!エース、よろしく頼むよ?」
煽られるように、背中を叩かれた。
エース…。
それは、昨日のことだった。
本日と同じく、クラスメイトが学祭の準備をする中、俺達は暇をもて余していた。
さっき、資材の運搬を行いましたが…今は出番がないようである。
理人を加えたいつもの四人でだらだらと教室の隅で過ごす。
だが、そこで陣太が突然。
『夏輝さー』
『あぁ?』
『ちょっと、俺に壁ドンやってみてくんねえ?』
『…はぁっ?!』
突然の友人からのオファーに困惑する。
か、壁ドン?男に?
『何で…』
『いやぁー。壁ドンされると胸キュンするんだろ?女子って生き物は。どんな気持ちになるんだろーと思ってさ?』
壁ドンされると胸キュン…。
『確かに。俺もよくわからない。あんなの威嚇行為以外何物でもないと思うけど』
すると、理人がそれを聞いて笑っている。
『壁ドンされたからって胸キュンするんじゃなくって、それに至るまでのエピソードも含めてでしょ?一気に距離も近くなるし、おまえを逃がさない的な男子の独占欲に女子は胸キュンするんじゃない?』
なるほど。
一気にパーソナルスペース侵入だもんな。
『だからちょっとやってみてくれや。な?この間の嵐さんにやったみたいにさ』
『…この間のは事故だっつーの!』
『まあまあ。いいから!』
そう言って、陣太は壁を背に立っている。
来い!と、手招きしている。



