そして、持っていた黒表紙の日誌でバシッ!と揃った頭に2連発ブチこんだ。
「痛っ…坂下ちゃん、ひどくありませんか!この暴力マネ!」
「そうだそうだ!一発持ってるだなんて、糸田と一緒!」
叩かれた頭を押さえて、二人はブーブーと文句を言っている。
だが、優里マネも負けてなかった。
「目の前の練習に集中なさい…」
優里マネの目が、据わってる!
こりゃ相当怒ってるし、相当迫力満点。
さすがの俺も、少しビビった。
「練習…してこーいっっ!!」
「は、はいぃっ!!」
そう叫んで、今一度、黒表紙の日誌を大きく振り回す。
大河原さんたちは、迫力に圧され、ダッシュで逃げ、グランドに戻ってきた。
俺達の横を通り過ぎる瞬間、
「木元、おまえの彼女、恐すぎ!」
「慰謝料もらいますからね!」
と、文句を言って慌ててグランドに戻っていった。
木元さんは、口をひきつらせて笑うしかない。
優里マネの彼氏ってだけで、苦労してそうだな。
さて、そろそろ練習始まる時間だな。
そう思って、俺も集合場所に戻ろうとした。
その時だった。
「ちょっと、竜堂くん?」
その声を聞いて、思わず体がビクッと震えてしまった。
声の主は、先ほど日誌を振り回していた彼女だ。
振り返ると、腕を組んでこっちを見ている。
「は、はい…」
「話、あるんだけど、いい?」
「はい…」
瞬時に悟ってしまった。
まさか、これは。
俺も怒られる系では…!
「蜂谷くん、もう時間でしょ?先始めてて?私、ちょっと竜堂くんに話があるから」
「お、そうだ。わかった。先やってるわ」
そう言って、蜂谷さんは俺を見て「あははっ」と笑う。
…って、楽しんでますよね?!
木元さんと一緒に俺達のもとを離れて行ってしまった。
あぁ…。
優里マネと二人きり。
何を言われるんだろうか。
「竜堂くん、ちょっと」
優里マネが手招きをする。
先ほどの二人を怒っていた表情ほど、恐ろしい雰囲気もない。
穏やかでもないが。
「…はい」
幾ばくかの緊張を感じながら、赴いた。
「優里マネ」
「何?」
「お騒がせして、すみませんでした」
もう、ここは先に謝ってしまおう。
だいぶ騒ぎになってるのは事実だ。
あの女豹が言いふらしているかもしれないおかげで…。
優里マネは、ため息をついている。
「竜堂くん、お酒はマズイわよ。リーグが一区切りついた時期とはいえ、私達未成年なんだから」
「はい…」
「表沙汰になったら、大会出れなくなっちゃう。今後は気をつけて」



