それは別に良いけど、先生、何で黙って見てたんだ?
どこから見られていたんだろ。
すると、先生は「うふふふふ…」と笑いだしていた。
恐い。
「君、竜堂くんでしょー?『星天高校の新しい王子様』のー?カッコいいわーうふふふふ…」
「は、はぁ…」
「爽やかイケメン、先生大好きー!ヒューヒューだねー?」
は…?
その擬音、何?
意味のわからない大人が現れた。
とりあえず、変な人ではあるが…先生が来たので、事情を説明して教室に戻ることにした。
麻倉先生は「えーっ!帰っちゃうのー?もっとお話ししよー!そこに座ってー!」と、なぜか足止めをしてきて、なかなか帰れなかった…。
生徒をサボらせようとするって、どういう先生だ。
それから、教室に戻る。
地理の授業真っ最中の教室に、こっそりと入って何もなかったかのように席に着き、授業を受ける。
先生の声が響くのみの教室で、何となくその声を聞きながらも、頭の中では、何となく、今までのことを振り返っていた。
シャープペンを意味もなく指で延々と回しながら、考える。
『桃李だって成長してる。今、いろいろと頑張ってるんだよアイツ』
『私、変わりたいっ…』
『…だからさ?好きなんなら、桃李の頑張り含めたその変化、受け入れてやってよ。ね?』
…好きだよ。
どの誰よりも、きっと。おまえのこと。
でも…いや、だからこそ、なのか。
『だ、だから、もう、逃げないっ…頑張りたい…頑張りたいんですっ!…』
(頑張りたい…か)
ペンを回す手を止めた。
(………)
とりあえず出た答えってヤツは、いとも単純なものだった。
「…では、今日のミーティング終了ー!解散!」
毎週金曜日の練習後に行われるミーティングも終了。
みんなそれぞれ席を立ち、会議室から捌けていく。
部員たちはだいたいお帰りになり、マネージャー達が後片付けをしている中。
「ほらほら。一年生はだいたい帰ったよー?竜堂、あんたも早くお帰りなさーい?」
「帰るのは、後ろに隠してあるおにぎりを差し出してもらってからにしますけど?まゆマネ?」
「…ああぁっ!また!…身長差逆手にずるいってば!竜堂おぉぉっ!私の楽しみが!」
先週から勃発している、まゆマネとの桃李作のおにぎりの取り合い。
本日は、たけのこ入り鶏そぼろ。
四つ目、盗み食い成功。



