…何が大丈夫だ。
今、おもいっきり立ったまま寝ていたじゃねえか。
すごい技術を御披露目されて、ビックリしたぞ。
昨日は、授業中寝落ちの際、机に何回も頭をぶつけていた。
それに、目が赤いし。
顔色も悪い。
こいつ、本当に大丈夫なのか…?
学校では、休み時間や放課後に、みんなでダンスの練習をしていて。
その後には、ペナルティ入部で重労働。
家に帰ってからも、近所のお姉さんが来て一緒に練習してんだろ?
何時までやってるかは、知らないが。
桃李おまえ、体力持つのか?
人より細い体で、見るからに体力ないのに。
ホントに大丈夫なのかよ。
チャイムが鳴り、先生が出欠を取りにきた。
みんな、自分の席にそれぞれ着席している。
桃李も座っていたが、眠たそうに目を擦っていた。
…頑張る頑張るったってよ?
そこんところは、本当に大丈夫なのかよ。
『大丈夫』だなんて、嘘ばっかり。
ちょっと、やり過ぎなんじゃね?
直立不動で寝落ちするぐらいだろ?
まあ、でも。
ペナルティ入部も明日で最後だ。
明日が終われば、少しは楽になるだろ。
授業中は、大爆睡していた。
…しかし、事件は翌日に起きる。
「な、夏輝…お、おはよ…」
朝練が終わって教室に戻る際。
教室に入ろうとしたところ、後ろから桃李が登校してきた。
今のところ、遅刻厳禁は守れているようだ…。
「おう。おはよ…」
週の終わり、金曜日だからか?
桃李の顔は、どんよりしている。
目が腫れぼったくなっており、半分開いていない。眠たそう。
顔色も絶頂に悪い。何か青白い。
背中も気持ち丸まっていた。
おいおい。
見るからに体調不良じゃねえか。
「おい、おまえ…」
声を掛けようとしたが、桃李の左手にぶら下がっている大きい手提げの紙袋が目に入ってしまい、言葉を詰まらせてしまった。
視界に入ると同時に、焼きたての香りがフワッと鼻についた。
こ、これ…。
「…おまえ、パン焼いてきたのか?」
すると、ゆっくり振り向く。
そして、静かに一回頷いていた。
この疲労困憊の中、パン?
パン焼いてきたのか?!
焼きたて…早朝にか!
な、何してるんだこいつは!



