王子様とブーランジェール





狭山といえば、お連れの者は、だいたい同級生の奈緒美や潤さん、菜月であるが。

今回は違う人物…!



『優里沙さんち初ー!ママ若くて綺麗ー!』



美梨也だ…!二年の『残党』のメンバー!


そして、もう一人が超意外な人物だった。



『初めまして、藤ノ宮です…』



え?え?え?

藤ノ宮…律子?!

二学年ナンバーワン美女の…藤ノ宮っ?!



少し色の抜けた感じの茶髪ストレートロングに。

学校にいる時とは違って、程よくナチュラルなメイクをした端正な顔立ちと。

グリーンのオフショルダーのカットソーと、くるぶし上丈のスキニーデニムを着ている。

おしゃれな出で立ちは、まるで雑誌のモデルのようだ…。



なぜ、この人がここに…!

『あらーっ!モデルみたいに綺麗な子!』と、優里マネ母も驚く。



しかし、藤ノ宮律子は、こちらに軽く頭を下げるとすぐに、『桃李…』と、お籠りの部屋に入っていってしまう。




『工藤妹はわかるけど、何で藤ノ宮律子いんの?』

せんべいをバリバリと食べながら、蜂谷さんは素朴な疑問をストレートにぶつけた。

『蜂谷さん?兄貴は卒業したんだから、妹つけないでよねー?…だって律子は私のお友達だもーん』

へぇ…美梨也と藤ノ宮律子、友達なんだ。

すると、優里沙の部屋から狭山が出てきた。

って、いつの間にその部屋に入ってた?

気付いたら、あのランジェリーフィッターとかいう、あのホステスっぽい女性もいないぞ?中に入ったのか!

『…バカめ!美梨也と律子と私でお茶していたのだ!』

なぜだか知らないが、いつもの偉そうな感じで自信満々にそう吐く狭山。

『お茶ねー。狭山ならお茶より酒って感じがするけど』

『何を言ってるのだ!この何を考えてるかわからない男!私達は未成年だぞ!』

狭山って変なとこ真面目。

何を考えてるかわからない男…蜂谷さんにピッタリの表現だ。



狭山はどっかりとソファーに座り込む。

人んちのソファーで何を偉そうな…。

『エリちゃん、お久しぶりねー!アイスティーでいいかしら?』

『優里沙ママ、かたじけない…おっ!そうだ!…正晴!正晴!さっきのヤツ持ってこい!』

玄関の方に向かって、狭山は叫ぶ。

すると、ドアが開いた。

『はい、お嬢様』

そこからは、スーツ姿の老人が登場…え?誰?この年寄り!

玄関で待機してたの?!

その老人は、優里マネ母に『お嬢様がいつもお世話になってます…』と、挨拶をし、リビングテーブルに大きい紙袋を置いて、速やかに部屋を立ち去った。

この老人…何しに来たの?