「俺、取ってくる」
隣にいるあゆりがダッシュしかけたのを、手を出して制止する。
「夏輝?」
「いい。俺、取ってきてやるよ」
そして、返事を聞くまでもなく倉庫へとダッシュする。
「夏輝!それマネージャーの仕事だってば!もう!」
あゆりの叫び声が響き渡っていた。
マネージャーの仕事なんて、知らん!
マーカー取りに行くついでに。
これで、桃李の様子も確認できる…!
倉庫にたどり着く。
しかし、入口付近はビックリさせられるぐらい、大変なことになっていた。
入口が埋めつくされるぐらいのたくさんの備品や道具が並べられている。
中の物を全部出しました!っていう勢いだ。
倉庫ってこんなに荷物あったんだ。
マーカーは、入口のすぐ傍にかごに入れて置いてあった。
だが、あえて探す振りをして中に入ろうとした。
「あ?何だ?パーマネント竜堂」
中に入る間もなく、糸田先生が中から出てくる。
「せ、先生…」
「あぁ?何だおまえ。おパーマあてに来たのか?ここは美容室じゃねえぞ?」
この先生は、俺の取れかけた緩いパーマの髪をいつもいじってくる。
対して奇抜な髪型でもないのに、なぜいじってくるんだろうか。
「いえ、マーカー足りなくて取りに来ました」
「お、そうか。どこだっけな」
先生は倉庫の外に出た。
(………)
その隙に、マーカーを探すフリをして、倉庫の中に入る。
桃李、どうしてるんだ。
ただ、それだけ。
桃李は奥の方にいた。
脚立のてっぺんに座って、天井に近い部分にある換気窓を雑巾で拭いている。
普通に掃除をしていた。
「せ、先生…こ、こ、こんなんでいいでしょうか…」
そう言って、こっちを振り向く。
ふと、目が合ってしまった。
「あ…」
桃李は目を見開いて、固まっている。
次の言葉を口に出そうとしたその時。
「…何やってんだこの電髪野郎!」
臀部をおもいっきりドカッ!と蹴られる。
痛っ!…タイキックか?!
で、電髪…って何?!
振り返ると。そこには、鬼の門番…いや、糸田先生がこっちを睨み付けながら立っている!
「…あぁ?誰が中に入っていいって言ったんだ?このパーマネント!」
そう言って、マーカーの入ったかごを俺に押し付けてくる。
や、やばい。怒ってる…!
「…さっさと行けぇっ!電髪野郎が!」



