王子様とブーランジェール





「…え!えぇっ!」



ここにいる誰もがビックリ。

まさか、ペナルティ入部。

本当にあったとは…!



…ペナルティ入部とは。

素行が極めて著しく悪い生徒に対し、生徒指導の一環として、部活動に加入してない生徒を対象に、部活動を通して指導を行うシステム。

この学校独自の…ここでの勤続年数が一番長い、糸田先生が作り上げたシステムだ。

しかし、俺達が聞いていたのはあくまでも噂として。

本当にあったとは!




素行が極めて著しく悪い生徒…桃李が?



「これが遅刻30回記念のプレゼントだ。神田さんよぉ?おまえはなぜこんな短い一学期の間に、なぜこんな30回も遅刻できるんだぁ?おまえの脳ミソの中、調べてやりたいわ!」




遅刻30回!

もうそんなに遅刻してたのか!



「そんでもって、俺からの呼び出し述べ12回、見事に全てすっぽかしてくれやがって!おまえの脳内構造、どうなっとるんだぁ?あぁ?神田さんよぉ?!」

「すべてわすれてました…」



何っ!

糸田先生からの呼び出し、全てすっぽかしただと!?

…今、ここにいるサッカー部員全員、ブルってるぞ?

何て命知らずなことを…!



「…とりあえずだ!今日から2週間、この神田とかいうヘタレ女子生徒に雑用業務をさせる。選手とは一切関わらせる気はない。あくまでもマネージャー業務の雑用中の雑用の仕事をやらせろ」

「雑用中の雑用?」

優里マネが首を傾げている。

「倉庫や部室、備品の掃除全般、力仕事をメインにやらせる。選手と関わること以外ほぼ全部だ!この2週間は、この神田一人にすべてやらせる。そのぶんマネたちは選手の方に回れ」

「えっ。一人で?大変ですよ!倉庫や部室の掃除のローテは、二人がかりで曜日変わりでやっとなのに」

「だから!ペナルティなんだよ!俺がいる時は俺が付きっきりで指導するが、いない時は、坂下頼むぞ」

「え、えぇ、はぁ…」

すっきりしない返事をする優里マネだが、なぜか蜂谷さんが『はーい』と返事をしている。



「…あれ?桃李?!」



道具出しを終えた1年マネたちがやってきた。

知り合いの思いがけない光景に、圭織もビックリしている。

うつ伏せに倒れている女子生徒の上に、教師がどっかり座り込むという、あり得ない光景に。



「…か、かおちゃん…」



知り合いの声を耳にしたからか、動かなくなっていた桃李はゆっくりと顔を上げる。



「…か、か、かおちゃんーっ!た、た、た、助けてぇーっ!!殺される!殺される!殺される!あぁぁぁぁ!」




そして、突然、爆発的に騒ぎ出した。