王子様とブーランジェール





桃李を傷つけた。

言い方、もう少し考えればよかった。

後悔が後からじわじわとやってくる。



謝るなりのフォローをしなくては。



…少し前の俺なら、照れ臭いだの、恥ずかしいだの、プライドが許さないだの、謝れずにいたが。



今の俺は、違う。

変わらなくては、前には進めない。

それが、やっとわかった。




何とか、桃李に声をかけねば…!



しかし、桃李は昼休み終了ギリギリに帰ってきて。

合間の休み時間も、うまく声をかけることが出来ず。

じゃあ、放課後は絶対…!

…と、思っていたが、ホームルーム終わるなり、担任の仙道先生が、桃李を連れていってしまった。

気にして少し待ってみたが、一向に姿は見せず。

部活の時間になってしまったので、諦めざるを得なかった。



…何でこうもうまくいかないんだ。

帰り、家に寄ってみるか。



今までの俺とは違うぞ。



すると、理人に。

『単に恋敵が出現して、嫌われるんじゃないかって焦ってるだけでしょ?夏輝は面白いなー』

と、言われた。

イタイところをつくな!










「夏輝、ちょっと!」



部活の始まる直前。

準備のため、倉庫から道具を出していると、呼び止められる。

「何だよ」

「それはマネージャーの仕事だから、やらなくていいって何回も言ってるでしょ?」

「え?重いもの運ぶぐらいよくない?」

「ダメ!選手はベンチ前に集合!」

ったく、何だよ。

こんなボールカートとか、くそ重たいものを運ぶのが女子の仕事だとか、どうかと俺は前から思ってんだけど。

でも、ヤツは気が強いったらありゃしないから、言うこと聞いといてやるか。

とは、思いながらも。

「…あゆり、やっぱ、これ俺が持つわ」

無視して、すたこら運ぶ。

「もぉーっ!」

「まだ道具残ってるから。あゆりはそれ持ってこい」

1年マネのあゆりは、ぶつくさ言いながら、言われた通りに倉庫に入る。

そんなこと、怒ることか?

すると、1年マネがもう一人やってきた。

「夏輝、またあゆりに怒られたでしょ?」

「ホントその通り」

苦笑いすると、逆に笑われる。

「昔から早いもんね。来るの」

「そうか?今日はちょっと遅れた感が…」

「そんなことないない」

もう一人の1年マネは、宮野圭織といって。

実は同中出身で、昔から知っている。

受験の際に、『勉強教えて下さい!』と、桃李と二人でお願いされたこともあったっけ。