「………」
「…何。藤ノ宮律子がどうしたって。夏輝の好みじゃない?赤文字雑誌のモデル系女子」
「そこまで知ってんの?」
驚いた。
理人がクラスや同学年以外の女子のことを知ってるとは。
俺の好み…うるせえな!
一瞬見た時、そう思ったわ!
「先輩たちが女子の話するとき、必ず名前出てくる。藤ノ宮、可愛いよなーとか。告白したけどフラれたとか。何でも2年の女子の中じゃ、あの美梨也と並んで断トツ人気らしい」
美梨也、久々に聞いたぞその名前。
アイツとタイはるぐらいの美少女か。
「先輩と一緒にいる時に見かけたこともあるよ。何でも、男を振る文句が『ずっと好きな人がいる』の一点張りなんだって。藤ノ宮律子の好きな人は誰だ?って、騒がれてるってさ」
「へぇー…」
「え?何?藤ノ宮律子がどうしたの?まさか桃李からそっちに乗り換えるの?」
「ばっ…!何てことをいうんだおまえわ!…さっき、教室に来たんだよ。桃李を訪ねて」
「桃李を?知り合いなの?」
「…だからさ。桃李にあんな知り合いいるとは、思わなくてさ。来るなり二人でどっか行ったし」
「ふーん…」
話は途切れ、理人は黙々と弁当を食べている。
話、終わってしまった。
俺も弁当食べる。
「…で?ザワザワしてんの?『俺の知らない桃李の知り合い』に?」
「………」
急に話し出すんじゃない。
ビックリさせるな。
しかも、心中スパッと当てるな。
「俺達の知らない知り合いが桃李にいてもいいんじゃない?だって、桃李からしてみたら、桃李の知らない俺達の知り合いもいるワケだろ?」
「それはそうだけど、あんな美少女が知り合いなんてどこに接点があったんだか、気にならない?」
「気になるかもだけど、恐らく夏輝ほどじゃないな。夏輝の気になるは、きっと束縛レベル」
「…あぁっ?!なんだそりゃ!束縛なんかしてねえし!」
「じゃあストーカーレベルとでも言っておく?」
「レベル上がってるし!」
束縛だぁ?!
付き合ってもいないのに、俺のものでもないというのに!
『…ん?あれ?桃李、泣いてるの?』
あぁぁぁ…関係ないところで、さっきの話を思い出してしまった。
これは、謝った方がいいんだろうか。
でも、感情任せとはいえ、俺は間違ったことは言ってない、と、思う。
でも…泣いていたんだったら、話は違ってくるよな。



