王子様とブーランジェール





「普段もさ、キレて怒鳴るのも桃李にだけ。やたらと桃李のことを注意深く見てるし?構ってるし?さっきも、なりふり構わず助けに行っちゃうし?人前では眼鏡はずすなってしつこいし?ねー?」



こいつ…気付いていたとは。

いや、さっきの状況だったら、気付くのも無理はない。

こいつに関しては、別に隠す必要もない。

むしろ、事実を知って、桃李から離れろ。



「…だから何だ?おまえに関係あるか?」

開き直り、強気に出てみる。

しかし、この後。

最も、俺の動揺を誘う内容の話を突き付けてくるのだった。




「…ダンナ、何で桃李に『眼鏡はずすな』ってしつこいの?」

「は?」

着眼点、そこ?

嫌な予感がした。

まさか…!




「まあ、桃李、眼鏡はずしたらかわいいもんね?グラビアアイドル系美少女?」




なっ…!



恐れていたことが、起きていた。




「おまえ、見たのか!」



ここぞとばかりにムキになって、声を張り上げる。

そんな俺を、松嶋は不敵な笑みを浮かべて見ている。

ふんぞり返って、勝ち誇ったような…!



「見た見たー。一瞬、誰かわからなかったし?眼鏡取ると、目、2倍に大きくなってさ?どんだけ目が悪いのアイツ」

「んのやろっ…!」

「ダンナは知ってたんでしょ?桃李が眼鏡はずすと美少女になること。なのに、何で『眼鏡はずすな』なのかなー?」

「そ、それは…」

「他の男にモテちゃうから?独占欲強いねー?」



ありとあらゆることを、すっぱ抜かれた…!

こいつ…!




動揺が動揺で重なる。

今、心拍数が急上昇して、吐きそうだ。

何でこんなヤツに、そこまでバレる!



少しフラッとして、自動販売機にぶつかってしまった。

動揺が滲み出た。

ちっ…!

そんな俺を見て、松嶋はケタケタと笑い始めた。

くそっ!



「動揺しまくり、マジなんじゃーん!ぶはは!」

「うるっせえな!」

「じゃあ、うるせえついでに、もひとつ聞いてもいい?」

「何だよ!」

「…何で、桃李に告白してないの?」



こいつ…核心の核心を!



全てが見透かされているような気がして。

何だか、ホントに気持ち悪ぃ。

無言のままでいると、松嶋は勝手に喋りだす。



「…え。何。まさか、『この王子様と言われるイケメンの俺様が、あんな地味女のことが好きとかバレるの恥ずかしいー!』みたいな?」