桃李、声が裏返った。
その反応に少しばかりか驚いてしまい、思わず振り返る。
無意識にした質問だったけど、聞いちゃいけなかったんだろうか。
「な、な、何をされたって…何が?」
「いや、さっき、『松嶋が驚かせてきた』って言ってただろ。それで落ちたんだろ?」
「あ、うん…」
「…で?」
「あ…いや…」
次第にうつむいて、沈黙してしまった。
え?何?
何で何も言わないワケ?
それは…言えないことなのか?
沈黙が続くにつれて、焦ってくる。
言えないことって、やっぱりそういうことを…?
痴漢まがいのことをされたのか?
それとも実は…って、どっちだ?!
焦りと混乱で思わずカッとなってしまった。
思いあまって、質問を投げ掛ける。
「え?何、おまえら、付き合ってんの?」
ズバリと核心をついた質問を…。
思わずしてしまう…。
「…え?」
「いや、だからさ」
「何?誰と?誰が?」
「いや、おまえと、松嶋がさ。付き合ってんのかなーって?」
「………」
桃李は…フリーズしてしまっている。
目を見開き、口がポカンと開いていた。
え、これ、どっち?どっちの反応?
「おい…」
「ばか…」
「…え?」
「…バカなんじゃないの!」
え?
ばか…って。
予想外の返答が返ってきて、軽く戸惑ってしまった。
ばか…バカって?
桃李が俺に対して!バカと!
「…あ、おい!」
今度は俺の手を振り払う。
不意を突かれて、手を離してしまった。
な、何で?!
「夏輝のバカ!」
そして、左腕を軽くバシッと叩かれる。
その顔は、ムッとふくれていた。
…え?叩かれた?
「冗談言うにも程があるでしょ!」
そして、両手で突き飛ばされる。
力弱いため、俺の体はびくともしなかったが。
え?…え?!
どうなってんの?!
桃李が俺に対して攻撃した…!
もちろん、そんなことは初めてだ。
初めての体験に、少しばかりか放心してしまう。
「そんなバカなことばかり言ってると、怒るんだからね!」
そう言って桃李は、駆け出す。
あ、おい!
「おまえ、また転ぶぞ!」
と、同時に、石に足を取られてすっ転んだ。
前から勢いよくバーン!と倒れた。
ったく…。
うつ伏せに倒れたまま、動かない桃李の傍へと行く。
「おまえ、やっぱり右足ケガしてるだろ」
「大丈夫です…」
「大丈夫じゃないだろ」
「もういいです…もういいです…」



