「えー。だって彼女出来たら自慢したいじゃん」
「バカ。単純ね。第一、話の綿密な打ち合わせもしてないのに、いろいろ突っ込まれたら返答に困るでしょ。悠介と星月はいつから付き合ってんのか、何がきっかけなのかなどなど…」
「えー。そんなのめんどくせー。何でもいいじゃん」
蓑島くんはうんざりとため息をつく。
細かい事とか苦手そうだもんね。
しかし、そんな彼に対して、横川さんは真顔で首を横に振る。
「何でも良くない。まさか、星月が失恋してそれを慰めるために彼氏のフリして傍にいることになりましたなんて正直に言ったら、水口ばぎゃふんと言わせられないじゃない。そんなのただの茶番劇でしょう」
横川さんは、栗色のゆるウェーブのかかった髪を揺らして蓑島くんをグッと睨むように見る。
長い睫毛がついた大きいパッチリとした瞳が細くなっている。
「じゃあ、昨日?一昨日?から付き合い始めました。俺の熱望により、で良くね?」
「…わかった。それで行こう。…あんたに関する噂は私の所にも問い合わせが来ることを忘れないでよ。昨日早速、紫苑くんから連絡きて問い詰められたんだから」
「えっ?!…紫苑先輩が?」
何で…?



