四時限目が終わるとすぐ、横川さんが三組の前で待っていた。
私に手を上げて『お疲れ』と軽く挨拶してくる。
もたもたしている蓑島くんを急かして、私達は速やかに屋上に移動した。
…人の目につくのも、気が引けるので。
「…いや。それにしても何でおまえ来んのよ」
屋上で横川さんと三人。お弁当を広げて食べていると、蓑島くんがブツブツと文句を言っている。
「星月と二人でお弁当食べたかったのにー。卵焼きあーんしてもらいたかったのによー」
「何言ってんのよ。あんた野放しにしてると予想外のことやってくれちゃうからね」
「予想外のこと?俺なんかしたっけ」
「あんたねぇ…自分のしたこと忘れるんじゃないの。何で速攻でとみちゃんとサッカー部の皆さんの前で交際会見しちゃうのよ。それは得策じゃないでしょ」
…どうやら、横川さんは。
蓑島くんが見切り発車で、斗弥子たちやサッカー部員の前で、私との交際宣言をしてしまったことに意義があるようだ。



