…と、こんなことで慌てふためいている場合じゃない。
「…蓑島くん」
「なんだい?マイワイフ」
「………」
あの…だから。ワイフって、話早すぎない?
ふざけるのも大概にしてほしい。
でも、私は彼と話を詰めなければならない。
ワイフと云われようが何が。
「…話があるの。昼休み、いい?」
「んー?一緒に愛のランチタイム?いいよー。何?あーんってしてくれる?母さんの作った卵焼きだけど」
「………」
違う。
違わないけど違う。
これからの偽彼氏作戦について話がある。
カップルと言っても、普通のカップルとは目的が違うから。
「…お。そういや、ゆらにも『昼休みに星月を連れて屋上に来い』って言われてたんだよな。ちょうど良くね?」
「横川さんが?」
横川さんが私に話?
まあ、あの人は…蓑島くんと付き合えと私に勧めてきた人ではあるから。
言いたいことでもあるんだろうか。
「…ゆらがいると二人でイチャイチャ出来ないけどいい?卵焼きあーんも出来ないな。残念」
「全っ然、別にいい」
この人と二人だと、話が全然進まない気がするから、かえって良いかもしれない。



