その温かい手で、今度は頭を撫でてもらって。

次第に、頬に触れた。



その温度の心地好さに浸っていると。

やがてそれは、唇にも伝わってくる。

柔らかくて、温かい弾力が。



それは、似ている。



蓑島くんからの…指にされたキスの感触と。




キスの…。




(………)



えっ。

あ…ああぁぁっ!





「…ああぁぁっ!」




夢の中から、一気に現実に引き戻される。

あの指の…キスの感触を思い出してしまい、我に返るように目が覚めてしまった。

ガバッと体を起こす。

目が覚めたそこは、いつもの馴染みの部室の中の光景だった。

寝落ちした…。



な、何?今の…?

唇の感触だけがリアルだった夢…!



心地好かった夢のはずだったのに、目覚めは何故か悪く、変な汗をかいている。

息がはぁはぁと上がっていた。






私は…蓑島くんには唇にキスされていない。

キスされたのは、唇を守ったバリケードの指だ。



なのに、その感触を夢として唇に感じるだなんて…!



私、どれだけこのキスが衝撃だったんだろうか。

したことのない唇へのキスをする夢を見てしまうなんて、どれだけエロいんだろう。



『…なんか、エロいな?』



…ああぁぁっ!

私、本当にエロいの?!

蓑島くんのそう言うドヤ顔が目に浮かぶ。



しかし、あんな手挟みキス程度で動揺するなんて。

これから、あのエロ大魔王蓑島の彼女になるのに。

先が思いやられる…。