顔が近付いて来た時の、あの胸の高鳴りがプレイバックしてしまう。
それは、恋愛経験ゼロで、彼氏いない歴年齢と一緒の生娘の私には。
当たり前に初めての経験であって…。
頭の中は、一瞬にしてその手挟みキスでいっぱいになった。
蓑島くんで頭がいっぱいになるのは、いとも簡単な話だった。
(…ああぁぁっ!)
布団に入ってからも、目を閉じた暗闇の中で何度も思い出す。
その度に、悶えては…。
夜は全然寝れなかった。
「…あれ。せづマネ、顔色悪くね?」
「………」
早朝の朝練。
朝イチ開口、グランドに出て来た紫苑先輩に指摘される。
「眠れなかったの?大丈夫?」
「い、いや大丈夫です」
寝れるワケないでしょうが…。
あの手挟みキスが、何度も頭を駆け巡る。
でも、全然寝れなかったけども、朝練には出なきゃいけない。
だから、無理してでもやってきた。
すると、その話を聞いていた二年生の先輩の望絵マネと愛マネがニヤニヤしながら話に入ってくる。
「えー?ひょっとして、ミスター蓑島と夜ずっと一緒だったとか…!寝かせてもらえなかったの?きゃー!」
「うっそー!せづ、早いー!」
「…えぇっ!ち、ちょっとそんな!」
何ですぐそんな話になるの!
って、先輩達は昨日、蓑島くんの奇行(…)を見てるもんね…。
こういう話、女子は好きだよね…。
あぁ…。