『光陰矢のごとし、命短き恋せよ乙女なんだからね?』
この世は、光陰矢のごとし。
うかうかじめじめしていたら、時はあっという間に過ぎる。
そう思うと、私は部室のドアを開けて飛び出し、駆け出していた。
グランドの方へと駆け出すその頭の中では、思いが巡る。
私…瞳真のこと、好きだよ。
でも、このまま叶わない想いを抱えて過ごすのは、正直ツラい。
それに、こんな嫉妬だの醜い感情を持って、瞳真と接したくない。
せっかく修復してきた関係、こんなことで壊したくない。
瞳真は『好きな人』でもあるけど…一緒に栄光を掴んだ『仲間』でもあるから。
美優のことだって、好きだよ。
4月からお互いマネージャーとして、一緒に頑張ってきた。
これからも一緒に頑張っていきたいから。
美優のことをそんな嫉妬とかで歪んだ目で見たくない。
もう、二人のことを、そんな風に見たくない。
この部で一緒にやっていく、仲間だから。
だから…この想いは、捨てる。
走って、走って。
さっきまでいたサッカーグランドを抜ける。
まだ、走って走って。
辿り着いたところは…。



