二人が並んで歩いて去る、その後ろ姿を見守るカタチとなっていた。
部室のドアを開けて、ボール数個入った箱を中へと運ぶ。
箱を置いた後…部室からは出ず、ドアを閉めてしまった。
そして、その場に立ち尽くしてしまう。
頭の中では、いろいろなことが頭を駆け巡っていたが。
それは、あれだけぐるぐるさせられた蓑島くんのことでは…ない。
先ほど、私の前から去った二人のことだった。
昨日のキスシーンから始まって。
…頭の中に鮮明に刻まれていて、離れない。
『終電で帰ったし…』
そんな、日付が変わる直前まで一緒にいたなんて。
『…頑張って運べ』
『…うんっ!』
さっきの空気入れといい。
何か…美優、ヤル気だった。
朝も手伝うとか言い出してたし。
妙に張り切っていて…。
…あ、ダメだ。私。
美優のその仕事のヤル気も、もしかしたら瞳真とのことが絡んで…とか、思い始めている。
すごい嫌なヤツになっている。
…嫌だ。
嫌だ、私。
4月から一緒にマネージャーを頑張ってきた美優に対して、こんな風に思ってしまうなんて。
美優は可愛くて、気さくで良い子。
紫苑先輩に『仕事できねえ…』とかボヤかれて落ち込んでいたけど、それでも頑張っていた。
…そんな子に、嫉妬なんてしたくない。



