あぁ、変な噂が立つ。
せづマネ、ミスター蓑島に誘われてるらしいさ。
しゃあなくね?だって胸デカいもん。
…だなんてさ!
怒りのあまり、尋常じゃないスピードが出て、あっという間に片付けをしてしまった。
先程、蓑島くんに投げ付けた、空気が抜けかかっているサッカーボールたちが入った大きめの箱を部室へと運ぶ。
これ、明日やろうか。
それとも、腹立ってるから今やってから帰ろうか。
部室の前に到着すると…そこに。
(あっ…)
思わず立ち止まってしまう。
「瞳真くん、この後時間ある…?」
「いいけど」
あの二人が…瞳真と美優が。
部室の前で二人で立ち話をしている。
(………)
…また、胸がモヤモヤして、イラッとさせられる。
「…あ、星月?」
気配を察したのか、美優が私に気付いた。
瞳真もこっちを見ている。
「…ひょっとして、ボールの空気入れ、今やるの?!」
瞳真から離れて、私の方に駆け寄ってきた。
「…ううん。これは明日やるやつ」
「あ、そっか。…今日はこれから残って何かやるの?」
「いや、今日は…やらない」
「うん、わかった!」
そう言って、美優は手を振ってその場を離れた。
…瞳真と一緒に。



