まさかの展開に胸が躍りかけた。



…が。




「…この試合。もし勝ったら、大いに喜んで欲しい」

「………」




…何だ。

何だ、そんなことですか。




「…当たり前じゃない。自分のチームが優勝して喜ばないマネージャー、どこにいるのよ」

「…だよな?」



そんな私の返答を耳にして、瞳真はプッと笑っている。

何よ。何よ。何なのよ。

もしかしてって期待した私、アホでしょ。

アホ…。



泣けてくる。

泣けてくるわ。

今夜も枕を涙で濡らすしかない。

一瞬でも浮かれた私。アホみたい。



気持ちニヤニヤとしている瞳真の顔を見て、イラッとさせられる。

ニヤついてる場合でない。バカでないの。



ベンチ前では、キャプテンの御堂さんから「円陣!」と声が上がった。

そうだ。ベンチ入りマネージャーも円陣に入れるんだった。



そっちの方に気を取られていたが、瞳真が横で「星月、あと…」と、呟いている。

話は終わっていなかったのだと思い、再び耳を傾ける。




「…ん?」

「あと…」





いつもよりも溢れるスタンドの歓声で、騒がしい競技場の中で。

それが、BGMになってしまうぐらい。

はっきりと耳に届いた。





「試合に勝っても負けても…星月に話したいことがある」