ここまで来たら、勝つしかない。

さあ、勝とう。



階段を降りて、一旦外を出て控え室に戻ろうとした時。

そこらの隅で立ち話をしている瞳真を見かける。

誰か…?知らない人だ。

同じ歳か下ぐらいの男子?



しばらく見ていると、「じゃ」とお互い手を上げて離れていく。

すると、目が合う。



「…お、星月いたの」

「うん…」



一緒に並んで歩いて控え室に戻るカタチとなってしまった。



「今の人誰?友達?」

「あー。伶士。試合見に来た」

「…えっ?!伶士くんって、瞳真パパの友達のお子さんの?あのユースの?大きくなっててわからなかった…」

「ユース辞めて来年ウチ来るんだって。受験頑張るって」

「ホント?!サッカー部入るの?!」

「うん。俺と一緒にやりたいんだって」

「すごい!すごいよー!」




そんな話をしながら歩いていると、向こうから坊主男子の集団がだらだらと喋りながらこっちに向かって歩いてくるのがわかる。

こっちに気付いて手を振ってきており、近付くにつれて誰なのかはっきりとわかってきた。



「…おーい!星月!」

「おー。瞳真だ瞳真」