恥ずかしい…!
「…誰が行くか!バカ!」
恥ずかしさと怒りが混じって、傍にあった空気を入れようと思って集めておいたサッカーボールを咄嗟に手に取る。
目の前を敵をブチ倒す勢いで、投げ付けてしまった。
「…おぉっ!」
私ではなく、サッカーボールが飛んできたことにビックリした声をあげる蓑島くんだが。
何となく笑い顔で余裕があるのが、憎たらしい。
私の投げたボールをキーパーのように胸元でがっちりキャッチしている。
「星月じゃなくてボールが飛び込んできた」
「何でおまえ、そんなに嬉しそうなの…」
紫苑先輩に、また頭を軽く叩かれていた。
「じゃ、星月!俺、自主練してっからあっちのグランドで待ってるぜ!」
そう言って、紫苑先輩にボールを渡して、笑いながら自分のホームグランドへと戻っていった。
「………」
怒りを吐き出すかのように、ため息が出た。
気が付くと、ギャラリーが全員、私のことを見ている。
「せ、せづマネ…」
「み、ミスターに求愛されてんの?…あっ、行っちゃった」
余計なことを聞かれる前に、道具や備品を持って急いでその場から撤収。
まずい。まずいまずい。
よりにもよって、サッカー部みんなの前で!
何で、あえてグランドに乗り込んで来るの!
蓑島…!



