「な、何で?!」
フェンスに駆け寄ると、二人は顔を見合わせて笑っている。
「星月の復帰戦だぞー?注目だろ!監督も見たがってたぞー?」
「昨日の試合は瞳真に動画送ってもらっちゃった!せづのサッカーしてるとこ見たくて!せづ頑張ってぇっ!」
お母さん、門脇部長…。
「…って、瞳真が喋ったの?」
フェンスから離れ、何気に隣を歩いている瞳真の顔を見る。
相変わらずツラッとしてますが。
「そ。俺」
「何で!たかが学校の球技大会だよ!」
「たかがでも、みんなおまえのサッカーしてるところ見たいんだよ。…俺だって」
「も、もう…」
余計なお世話なのか、何なのか。
照れくさいでしょ。お母さん見に来るとか。
もう。
そして、どさくさ紛れに『俺も』みたいな言い方して。
そういうところにキュンとしちゃう…。
本人はいつものクールな無表情で、ツラッとしてますが。
「頑張れよ?決勝まで行かないと、俺のクラスと当たらないからな?」
「…頑張りますよ」
二人で並んで歩いて戻る。
…だが、そこにはあの男が立ちはだかった。
「水口こらあぁぁーっ!」
「…み、蓑島くん?!」
「……」



