みんな、ごちゃごちゃうるさいね。
ひとつ咳払いしてから、息を吸い込む。
「1ー3…行くよっ!」
「よっしゃあぁーっ!」
円陣組んだままで、腹の底から声を出し続ける。
息が切れても、まだロングドーンで出して出して出し続ける。
これは、蓑島くんのいたクラブチームのオリジナルの円陣なんだって。
野球の円陣…サッカーだけど。
でも、カッコいいので拝借した。
「…行くぞ!」
「おぉい!」
円陣から離れると、観客席から手招きされる。
「星月!…星月!」
「…あ」
瞳真だ。
スマホ片手に手招きして私を呼んでいる。
「って、今の撮ったの?もう…」
「それはいいんだけど、あっち」
「え?」
瞳真の指差した方向は、傍にあるフェンスの向こうだ。
「あ。…えぇぇっ!」
そこには、大人二名の姿が。
「せづー!頑張ってー!」
「星月、勝てよ!」
「お母さん!それに、門脇部長!」
待って待って待って。
何で何で何で、お母さんと門脇部長が学校の球技大会に来てるの?!
昨日は、北峰コーチが覗きに来てたし…何で?!



