「ハニー?いつからハニー?…勝手に一人で突っ走ってんじゃないわよ!このセクハラ大魔王!」
「俺には突破力があるんだよー。盗塁タイトル取ってるし?見切って見切ってっ突っ走ってかないとスチール成功しなーい?」
「突破力?…無理矢理突破し過ぎてるでしょぉがっ!見切る必要なくないですか?!」
見切り発車するな!
この男とは、やはり無理だ。
とびきりのイケメンで何の申し分もないかもしれない。
気取ってなくて、明るいかもしれない。
…けど、悪く言えば、お調子者のチャラ男であって。
しかも、あちらさんが何を考えているかが、わからない。
「…ったく、しょうがねえなぁ?星月は」
そう言いながら、またしても蓑島くんはフッフッ…と、肩を揺らして笑っている。
その笑い何なの?
何かを企んでいる悪者みたいだ。
「カモン!…俺の愛しい星月!」
私に向かって、バッと両手を大きく開く。
…え?何?
「俺の胸に飛び込んでこい!」
辺りが一気にシーンとなった。
ギャラリーは呆気に取られて静まってしまったようだ。
苦笑いを浮かべている人もいる。
蓑島くんだけが、満足そうなドヤ顔で両手を広げたままでいた。
これ、だだスベリ…!
無理…!



