『…何で?』
横川は、手に持ってるスマホを机に置いてフッと笑う。
『蓑島、あいつ星月の昔の新聞記事持ち歩いてんだよ。ストーカーか?』
『うふっ。あれ、見たの?』
この反応…横川は知っているのか。
『見た。ポイントカード入れみたいなファイル』
『ポイントカード入れとは失礼ね。…あれ、私が作ってあげたの。四つ葉のクローバーのラミネートも。あれは悠介の御守りだからね?ストーカーじゃないわよ。ファンみたいなもの』
『おまもり?』
『そうよ?あの四つ葉のクローバーも、星月の活躍が載った新聞記事も。…あれを励みに悠介は今まで野球を頑張ってきた』
…そこで、俺は蓑島の過去を知ることとなる。
星月との接点も。
蓑島が野球を始めたのは、小学二年生の時。
すでに少年野球のチームにいた姉や、横川の兄二人や庄田の兄など、たくさんの知り合いに誘われて、同じチームに入部。
最初はお客さん状態で遊びに来ている感覚だったが、元々運動神経のよかった蓑島は、練習を重ねるにつれてその頭角を現す。
みるみるうちに上達し、小学四年生の時には上級生を押し退けて、レギュラー定着していた。
…しかし、それを気に食わない連中がいたという。



