自分自身のことも、許せなくて腹立たしい。
なぜ、この男に大切なものを持っていかれて『しょうがない』と、思えていたのか。
なぜ、力ずくで取り戻そうと、自分のものにしようと思わなかったのか。
…なぜ、今まで気付かなかったんだ。
もう、この世の中信用できない。
…と思うのは大袈裟だけど。
この二股インチキフェミニストが、星月を幸せにしてくれるだろうと、少しでも希望を持った自分が大馬鹿だった。
自分が一番信用できねえわ。
いろいろ思い返すと、怒りが噴き出して仕方ない。
『…蓑島』
『………』
忌々しいヤツの名を呟いて、睨み付ける。
その忌々しいヤツは、まだ不敵な笑みを浮かべてからかうように俺を見ている。
どこまでも腹立たしい。
『…星月はおまえに渡さないからな』
『へぇ…?』
『おまえみたいな二股インチキフェミニストに任せていられるかってんだよ!傷付けたら許さねえ!』
『………』
一瞬、きょとんとした表情を見せるも、すぐにブッと吹き出し笑われる。
次第に肩を震わせ、とうとう声を出して笑い始めた。
『ぶっ…ぶわははは!あははは!』



