『…ふざけんなよ?蓑島…』
『ん?』
『星月の気持ち、考えてんのか…?』
すると、この男。
ぷっと笑う。
『わかってますがなー?…何の事情もわかってないのはおまえだよ?…このピーエーロ!』
は?…ピエロ?!
俺が何の事情もわかってない?!
相変わらずワケのわからないことを!
しかも、白塗り赤鼻の派手服ヤロー呼ばわり?!
ここまでなぶるか?蓑島…!
もう、この男が悪者にしか見えない。
星月を傷付ける、悪魔。
『蓑島…許されねえぞ…』
『…何が?』
『星月の心を弄びやがって…!』
…本当に迂闊だった。
星月が良いなら…幸せなら、それで良いと思っていた。
だから、俺が何を思おうが、とやかく言える立場じゃないと思っていた。
しかし、蓋を開けてみたら、蓑島は星月に対して『一般的な恋愛感情』を持っていないと。
お姫様の騎士だの、傍に置いておきたかっただの。
『愛しく』思って、想い焦がれているワケではないのだ。
そんなの…星月を傷付ける以外、何物でもねえよ!
…俺は今。物凄く後悔している。
なぜ、遠慮して自分の想いを押し殺したのかを。
今回のことは、もちろん。
今までも…。



