弱った。弱ったぞ。
蓑島の件でも頭を抱えているというのに。
またここで新たな敵の登場か?
まさか、エロ男先輩やチャラ男先輩のモノか?!
いろいろな憶測を張り巡らす。
そうなると、この物語のここからの展開が変わってくる。
まさか、ストーカーと戦う…!
『…それ、返してくれる?』
『は…あぁっ?!』
突然、背後から話し掛けられた。
輩の登場に、飛び上がる程に体がビクッと震える。
次々と飛び出る憶測や妄想にとらわれていて、人の気配に気付かなかった。
(………)
振り返ると、そこには先程対決した輩の姿があった。
シラッとした目付きでこっちを見ている。
俺の方へと、掌を見せた手を伸ばしていた。
その様子を見ると、もしや…と、確信してしまう。
『…ほら。返して。それ俺の忘れ物』
『………』
この星月祭のファイルの持ち主は、おまえなのか…。
相手の様子を伺うように、恐る恐ると閉じたファイルを差し出す。
それをパッと手に取り、肩にかけていたカバンの中へとしまっていた。
そして、軽いため息をついている。
『…勝手に中見んなよ。ヘタレ王子』
…また、そのセリフを!
この、二股インチキフェミニスト!
蓑島…!



