結局、仙道先生のほぼ言うとおり丸写しの反省文となり、ようやく書けて解放される。
蓑島より数十分も遅れての解放だ。
あいつはいいよな。
口も上手いし、世渡り上手っぽいし。
器用で、要領良さげだし。
俺の持ってないモノ、いっぱい持ってる。
蓑島の長所を並べるなんて癪だけど…俺、蓑島に何を勝てるんだろうか。
そんなことを考えると、ため息しか出てこない。
泥だらけのジャージのままなので、着替えの制服が置いてある更衣室へと行く。
中に入ると、授業の真っ最中だからか、さすがに誰もいなかった。
四時限目、もう少しで終わる。
泥だらけのTシャツやジャージを脱いで、指定のポロシャツを着る。
何も考えずに黙々と着替える。
辺りを見回すと、自分の私物しかないな。
体育の授業、どこもないのか。
ガラーンとしていて、淋しく感じながらも着替えを進める。
(…あれ)
ふと見ると、隣の隣くらいの棚に、一冊のクリアファイルが置いてあった。
クリアファイルとは言っても、サイズが小さい。ポイントカードぐらいの大きさだ。
誰かの忘れ物か?
そう思って、何気なく手に取った。



