糸田先生が『キョンって何?』と、仙道先生に聞いている。

仙道先生は『小さい鹿です』と簡潔に答えていた。



『先生!キョンは生殖能力の高い外来種です!このままでは千葉県はキョンと猪の楽園になってしまう!それをみすみすと…』

『あーわかった。キョン?のことはもういい。…とりあえず、口論になったことは認めるんだな?おまえら』

糸田先生、蓑島の演説をサラッと流した。

そして、俺達の顔を見て、今一度確認する。



口論になったことを、認める…?



…いや、口論になったことは認めるが。



蓑島のそのトーク力で、先生たちを丸め込もうとしているその行動にイラッときたのは言うまでもない。

そう自分の都合の良いように話を持って行きやがって…!

しかも、さっきの嘘八百だって…内容はよくわからんが、俺が悪者みたいな言い方してるじゃねえか!

どこまでもバカにしやがって!

この…根性悪が!





…もう、ダメだ。頭にきたぞ。






『…あ?水口?』



怒りに任せて、ついついフラッと立ち上がってしまった。

そのまま無言で、椅子に座っている糸田先生を上から見下ろして詰め寄る。