蓑島は、俺のTシャツの襟元を掴み上げたまま、渾身の力で俺を振り回すように投げ飛ばす。

視界がぐるっと周り、そのままザザっと地に滑り込まされた。

腕が砂に擦れて痛みをピリッと感じる。



投げ飛ばしやがったな…?

この…インチキフェミニスト!



更に怒りが増し増しになり、地に這いつくばった状態から、パッと立ち上がる。

そのまま助走をつけて飛び掛かり、蓑島に足を振り上げた。

俺の右足裏は、蓑島の腹ど真ん中深くに命中する。

『…うぐっ!』

蓑島も後方に吹っ飛び、地に這いつくばって腹を抱えてくの字になってる。

ホント『く』だ。



腹を抱えてゴホゴホと咳き込みながらも、蓑島も体を起こしている。

『…てめえ!飛び蹴りだぁ?可愛い顔してヤル気十分かコラアァァッ!』

『殺る気に決まってんだろが!俺は近くに住んでる従兄弟たちと、毎日のように那巣川天心ごっこやってたんだぞ!顔だけで弱いって判断してたろ!甘く見るなよ!』

『相変わらずワケわかんねえこと言ってんじゃねえ!』



それからは、掴み合って、取っ組み合って。

突き飛ばし合って、また掴み合って。

たまに蹴りを入れて。


『痛っ!…蹴るな!ヘタレヤローのくせに!』

『黙れ!インチキフェミニスト!』


罵り合って。