『黙れ!この…二股インチキフェミニスト!』

『…は?ふたまた…』



俺の一言に、一瞬隙を見せた。

俺を掴む手が少しばかり緩んだ、そこを逃さずに俺は頭を後方に反らして反動をつける。

戻す反動で勢いをつけて、自分の額で蓑島の額を狙った。



『…いぃっ!』



衝撃と共にガスッ!と音が鳴り響いた。

蓑島の情けない悲鳴も聞こえてくる。



蓑島にヘディング…いや、ヘッドロックした。



今の衝撃で、蓑島は俺から手を離している。

俯いて額を押さえていた。



ざまーない。

っていうか、先に手を出したのはおまえだぞ。

そっちが先に掴みかかってきたんだぞ。



『おまえぇ…このっ!』



蓑島は、これまでにない般若のような怒り顔で声を荒げる。

またしてもあっという間に首元狙って掴みかかってきた。

『…触んな!』

『よくもやりやがって!このヘタレ!』

グッと引っ張るその力は強く、少し振っただけじゃ逃れられない。

再び力を込めているのか、締め上げられそうな勢いだ。

さすが野球部。腕は強いな。



っつーか、ヘタレ…?



再び、イライライラッとした。