『…おまえはいいよな』
つい、ボソッと呟いてしまう。
心に抱えた本音がポロッと出た。
すると、蓑島はすぐに反応してくる。
『…ほう?それはどういう?俺がミスターだから羨ましいとか?俺が超完璧イケメン蓑島様だからかい?その気持ちわかりますよ。うひひ…』
いつもはシカトし続ける状態だから、俺が一言返すとなると、すぐに食い付いてきやがった。
何か、嬉しそうだ。
しかし、三倍返しで喋ってくる。疲れる。
リアクションしたことを後悔するわ。
『………』
『おいおい。おまえから振ってきた話題なのにシカト?つれないわー。水口王子つれないわー』
あんなバカくさい返答にどうコメントしていいかわからん。
随分と自分をヨイショするんだな。
『おまえは幸せそうでいいわ…』と、惰性で呟いてしまった。
『え?王子は幸せじゃないの?』
ちっ。呟きにも反応してきた。すかさずすくい上げるな。
『俺の幸せなんてどうでもいいんだよ』
『え?何で何で?…ひょっとして』
そして、コイツは唐突に核心を突いてくるのであった。
『…俺がおまえの愛しいお姫様を横取りしたから?』



